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上海市崇明島扁担戯

『西遊記』唐僧取経、火焔山まで


2009年6月25日 崇明島(文化館にて特別に上演) 主演 朱雪山
馬場英子撮影



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 扁担戯(木人頭戯)は、扁担(天秤棒)で道具と舞台を担いで村を回り、注文が入れば、空き地に舞台を設置して上演する指人形芝居で、語りも銅鑼、鐃(シンバル)の伴奏もすべて一人で行う。
 清末の風俗画などには、扁担戯の上演の様子を描いたものがたくさんあり、全国各地で広く行われていたことがわかる。1950年代初めにはまだ北京などでも残っていたようだが、その後は、ほとんど失われてしまった。
 崇明島の扁担戯は、清の光緒(1875-1908)年間に蘇州から来た芸人に、当地の顧再之が弟子入りしたのが始まりで、百余年の歴史がある、という。(一説に、二百年前、嘉慶年間に始まるという)この顧再之は十数名の弟子をとったので、扁担戯は崇明島全域に広まった、という。
 現在の伝承者朱雪山は、祖父朱克成、父朱学文の後を継ぐ三代目である。祖父はもともと「説書」(語り物)をやっていた。祖父には三人息子がいて、皆、扁担戯をやり、その息子たちも後を継いだ。1980年に県の文教局が発行した扁担戯上演許可証全10枚のうち8枚が朱家のもので、当時、家には8組の「戯担(人形芝居の道具一式)」があった、という。扁担戯が一番盛んだったのは80年代で、90年代に入るとテレビなどの普及で急速に衰退し、今、崇明島で上演するのは朱雪山一人である。
 扁担戯は主に農閑期の冬に上演し、春節の時はいったん家に帰るが、上海、江蘇、浙江にも行った。
 主な演目には「武松大閙蜈蚣嶺」[薛仁貴大破摩天嶺]「孫悟空三打白骨精」[羅通掃北]「薛丁山征西」「白蛇傳」などがある。テキストは芸人が自ら編んだものか、口伝による。2009年に話を聞いた時には、長いものは1時間、短いものは10分、という説明だったが、最近の記事では、長いものは30分、と言っている。今は、小学校などの課外活動、民俗関係の行事等で上演している。
 朱雪山の人形は、父が作ったもので、上演には、20~30体、持っていく。指人形で、足はないが、孫悟空がトンボを切るところなどでは、別誂えの「足」を効果的に遣っている。